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あ す な ろ ト ー ク 集
47.気づかせて動かす
 「今日もいっぱい殴られた。30発かな」。練習試合から帰宅した際、母親にそう話した翌朝、自室で首をつっているのが見つかった。大阪市桜宮高2年でバスケットボール部主将の男子生徒=当時(17)=が顧問の男子教諭(47)から体罰を受けた後に自殺した問題である。
 遺体は頬が腫れ、唇が切れていたという。顧問は試合をいったん止め、「発奮させるため」として生徒をたたいた。生徒が顧問宛に残した手紙には「ほかの部員と同じミスをしても、主将だからよりきつく怒られる」と書かれていた。
 自殺後にバスケ部員を対象にしたアンケートによると、顧問の体罰は常習化していたようだ。スポーツ強豪校であったが故に生徒は顧問に逆らえず、理不尽な仕打ちを受けていた。学校側も勝利至上主義に走り、体罰を容認していたのではないか。
 「子どもは真剣に自分のことを思ってくれているのか、瞬時に見抜く感性を持っている。殴ったり蹴ったりするだけで変わるなら誰でもそうする」。“泣き虫先生”として知られる伏見工高ラグビー総監督の山口良治氏は、著書「気づかせて動かす」で指導者のおごりを戒めている。
 同書では英語の「教育」の元来の意味を「引き出す」と紹介。「何をすべきか自分から気づくように導くことが大切」と助言している。体罰で強制的に勝利に導いても真の教育者といえるのだろうか。
平成25年1月15日 大分合同新聞 東西南北
【コメント】
英語の解釈を引き出すまでもなく、教育は更地に花を咲かせるがごとく、夢と感動を味あわせて育てていくところであり、力づくで押し付けるものではなかろうに