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あ す な ろ ト ー ク 集
44.困難は自分に必要なこと
 遠くへ飛ばす―。ソフトバンクの主将だった小久保裕紀さん(41)は、本塁打にこだわってきた。19年間見つめてきた打球が、引退を決意させた。8月14日。ロッテに敗れた試合後に引退を表明し「ボールが飛ばなくなってきた。練習でも入らない。そういう葛藤ですね」と率直に語った。
 恩師である王貞治球団会長の薫陶を受け、長距離砲として生きてきた。「背中がばきばきになるくらい」に練習から振り続けた。1995年には本塁打王に輝く。昨季は通算400本塁打も達成した。
 美しい放物線は代名詞だった。それが「芯で捉えても飛ばない」。衰えは自分自身が誰よりも実感していた。それでも9月30日の日本ハム戦で2打席連続本塁打。長年格闘したヤフードームの広さに、意地を示すような豪快なアーチ。
 小久保さんの第2章は始まっている。度重なるけがを乗り越えてきた。今季は2千本安打を目前にして前代未聞の抹消もあった。「波瀾万丈、どんと来い」と言うにも、あまりに劇的すぎた人生を自叙伝にまとめている。
 数々の困難も「それは自分にとって必要なことと決めてしまう」と、むしろ成長の糧にしてきた。経験を広く伝えるのが、ユニホームを脱いで最初の仕事。「後ろ向きになっている子に、少しでも前を向かせてあげられるようになったらいいですね」と学校などでの講演活動も行っていく。
平成24年11月28日 大分合同新聞 それぞれの引き際
【コメント】
そう、難しい、大変だ、面倒くさいと避けていたら前進・向上はないよね。