索引へ戻る

あ す な ろ ト ー ク 集
39.勝負は還暦をすぎてから
 時速140㎞のストレート。それは現役のプロ野球選手にとっても速球といえるスピードだ。還暦。40歳で引退して20年。なぜそこまで速球にこだわりつづけるのか。「昔はすごかったんだぞ。そういう自慢はしたくないという気持ちがあります。人前で投げる姿を見せる限りは」
 マサカリ兆治。ナタを振り回すようなダイナミックな投球フォームからそう呼ばれた村田兆治氏は、気負いなくこたえる。「少年たちは素直です。どんな大投手といわれても、目の前で見せる球が遅ければ、なんだプロってこんなものかと思うでしょう」
 日本全国の離島を巡り、少年たち一人ひとりを打席に立たせ、真剣勝負を通じて野球の面白さを教えている村田氏の、それは哲学というより実感なのだろう。
 ところが32歳のとき、突然、肘を故障。・・・そして悩みぬいた末の決断。当時はタブーとされていた肘にメスを入れる手術を受けるために渡米・・・。結果、40歳で引退するまでに59勝をあげ、通算215勝を達成した。
 還暦で140㎞の速球を投げる。それは超人の技ではなく、真摯な住み重ねの賜物なのだ。
平成22年9月1日 投手 村田兆治 60歳 サントリーCMより
【コメント】
 妥協は年齢に関係なく、許されるものではない。との人生哲学には惚れるよな。ここまでやるとなると、憧れより うーんと うなってしまう。