あ す な ろ ト ー ク 集 |
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35.ないものをもらう |
明治生まれの母は、やんちゃな7人兄弟の末っ子に、こう言い続けた。「相手の立場になって考えなさい」。今は亡き母の言葉は、俳優の牟田悌三(78)が50歳を過ぎ、本格的なボランティアを始めたときに役立った。「1回じゃだめ。年中言われないと刷り込まれない」と笑う。
約25年前、障害のある子どもと地元の中学生の交流会を企画した。参加した中学生は「お互い足りない部分を補い、支え合っていきたい」と感想文を書いた。「実感として出た言葉。子どもってすごいぁ」。以来、子どもにかかわるボランティア活動にのめり込んだ。 だが、熱心になればなるほど、行き詰まりを感じた。「自分は相手に何かをあげて、明日もあげて。何でオレ、こんなことやってんだろう」と疲れてしまった。原点に戻ろうと考えたとき、気が付いた。「あ、オレも相手からもらえばいいんだ」人間は一人一人違う。自分にないものを相手は持っている。それをいただいちゃおう。もちろん、相手の立場にもたちながら。・・・ だから、「ボランティアは、一方的に相手に尽くす意味の奉仕ではない。自分のための体験学習でもある」という。 |
平成19年6月8日 大分合同新聞;あのころいま 牟田悌三 |
【コメント】 パソコンを教えるというか、続けられるのはまさにこのことだ。教えるのではなく、逆に教えられることが一杯あるから楽しいのだ。これだけ教えてやっているのに!と思ったその時から、挫折感を味わうことになるだろう。 |