




| あ す な ろ ト ー ク 集 |
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| 25.中の雪 |
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金子みすゞの童謡詩が東京大学の入試問題に出たことがあるそうだ。「積もった雪」「大漁」 の二作品を読ませ、共通する作者の見方・感じ方について、感想を書かせる内容だったとか。 <上の雪/さむかろな。/つめたい月がさしていて。/下の雪/重かろな。/何百人ものせ て。/中の雪/さみしかろな。/空も地面もみえないで。>(『積もった雪』)。雪深い村の 村長さんはこれを口ずさんで涙を流した。「中の雪のことなど考えたこと一度もなかった。 見えるものしか私は見てこなかった」と。 金子みすゞ記念館の矢崎節夫館長が以前、本誌で紹介していた。みすゞは「この世のすべて は二つで一つということをよく知っていた」(矢崎さん)。大羽鰮の「大漁」では、浜での祭り 気分と海のなかでの鰮のとむらい、喜びと悲しみ。「積もった雪」でいえば、目に見えるものと 見えないもの、だろうか。 記念館を訪ねた人がこんな話をしてくれた。ある中学校の文化祭で三年生たちが「積もった 雪」を群読した。それまで荒れていた学年の空気が少しずつ丸まっていくのを先生も生徒も感じ たという。「中の雪」を思う優しさを知ったことと関係がありそう。 |
| 平成16年4月26日 西日本新聞;春秋 |
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【コメント】 見えないところに気を配る、痛みを分かる。言うのは簡単だけど実際はむつかしいね。人の言ったこと、 見たことを鵜呑みせずに本質を考えることかな。 詩人の感性ってすばらしい。すぐれた漫画家も夢を与える。みんなに共通するところは心を見ている。 |
