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あ す な ろ ト ー ク 集
18.はじっこ症候群
 今、はじっこに視線が集まっている。コンサートの常連は、人をかきわけて席に着かなけれ
ばならない中央の席を避けて、わざわざ端の席に座る。講演会などでも、必ずと言っていいほ
ど後ろ側のはじっこの席から埋まっていく。
 人間は誰でもはじっこに座ったり、一定の対人距離を取りたがる習性があるが、日本人の場
合はそれが顕著なようだ。「良く知っている人にはべったりした関係になるのに、それ以外の
人にはナーバスになり、コミュニケーションをとることにしり込みしてしまう。甘えたくても
甘えられないし、自分のサインをはっきり出せないんですね」(宮沢隆駒沢女子大学教授)。
 現代日本人に目立つ対人恐怖やはじっこ志向。最近、それに拍車をかけているのが、見知ら
ぬ人との物理的な接触を避けるコンピュータ依存の若者たちの増殖ぶり。インターネットを経
由すれば話せるのに、面と向かうのは苦手。電車内や街角など公衆の中で、携帯電話に夢中に
なって自分だけの世界にひたる。人付き合いは苦手だからとパソコンを心の友にする。
 対人不安を取り巻く環境は大きく変化してきている。言葉が下手だから、異質な人との付き
合いは苦手だからといつもはじっこにいたら、評価されない時代がやってくる。せめて意識の
うえだけでもはじっこを返上する必要がありそうだ。
平成11年9月25日 日経新聞;世相 ウオッチング
【コメント】
昔、先輩が会議や講演会などの着席で隅っこに座るのは積極性に欠ける行動で、特に管理職にあるまじき行
動と教えられたが、わが社もご多聞に漏れず同感の至り。以来、私は努めて前の方に座ることにしている。
そうすることによって自分の緊張感を高め、やる気が出てくる。居眠りしがちな小生には最良薬だ。