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あ す な ろ ト ー ク 集
17.常にベストを尽くす
 丘の町、北海道の美瑛町で先日、谷口浩美さんにお会いしました。私が毎年ゲストとして参
加する「美瑛ヘルシーマラソン」に、今年の特別ゲストとして招かれたのです。現在、旭化成
陸上競技部を指導していますが、それにしても人気はすごいものです。昨年まで4千人弱だっ
た参加者が、今年は4千3百人に膨れ上がりました。・・・・大会前日の交歓会の後、主催者の方
々に誘われた懇親会に「僕は明日がありますから」ときっぱりお断り。さらに大会当日、「走
りに集中したいので」と開会式への参加もお断り。集まった選手や町の人たちをがっかりさせ
ました。彼が走るハーフマラソンのスタート地点は、開会式の場所から少し離れてはいました
が、式に出ても十分間に合うところなのに。
 しかし・・・・。2時間後、首をかしげた独特のフォームで競技場にトップで現れた谷口さんの
姿に、みんな酔いしれたのです。右手と左手を交互に観衆に向けて上げ、にっこり。拍手は一
段と大きくなり、この美しい瞬間にだれもが大満足の表情をしていました。私も大きな拍手を
送りました。競技を離れても常にベストを尽くす姿勢と、本番のこの瞬間のために心を鬼にす
る強さに。
 「夢なき者に理想なし。理想なき者に目標なし。目標なき者に成果なし。成果なき者に喜び
なし」谷口さんのこの言葉を思い出しながら。
平成11年8月3日 西日本新聞;リレー随想:増田 明美
【コメント】
なかなかいい言葉だ。が、凡人にはこの夢、鼓舞する夢が描けないんだ。夢とまではいかなくても、いま
自分がしたいこと、やりたいことを明快にして日々過ごすようにするだけでダラダラ感から脱出できる。
難しく言わずに、「目標なきところに行動なし」だけでも十分にいいと思う。